作風の異なる二人が作り出す器
佐藤大寿・朱音
400年の伝統を誇る、福島県会津美里町(旧会津本郷町)に根付く会津本郷焼。今も多くの窯元が並ぶこの町に、2001年10月、当時18番目の窯屋として「樹ノ音工房」は誕生した。名の「樹ノ音」は、夫・佐藤大寿さん、妻・朱音さん夫妻の名前から1文字づつ取られたものだ。
この地で代々続く窯元の家に育った大寿さんが陶芸を専攻するために進んだ芸術大学。そこで同級生として出会ったのが朱音さん。それぞれ作風の異なる二人が作り出す器、それが樹ノ音工房の特徴である。
会津本郷焼として代表的なのは、飴色に輝く陶器ですが、樹ノ音工房では白や黒、さび色など様々な色、さらに絵付けの器も作られている。「恵まれた環境を活かし、新しいことを試してみたいという、私たちのような世代を受け止める大きさが、この土地にはあるんです」と話す朱音さん。
制作をする上で大切にされているのは、手づくりの温度を感じて、心がやすらぐ『生活の器』をつくること。赤土を練ってろくろをまわし、乾かして、模様を削り、さらに釉薬をかけて焼く。土の音が聴こえてくる生活の器は、このような想いから作られる。