砥部焼の伝統を大切に、挑戦したものづくり
すこし屋 松田 歩さん(松田窯)
あたたか味ある地肌の「陶器」と比べて「磁器」というと、白磁や青磁をはじめとしてクールなイメージがある。しかし、すこし屋では手仕事ならではの、温もりを感じられる器づくりにこだわり、手づくり、手描きで壺や花器、食器を作っている。すこし屋の器は「磁器」だが、象牙色のあたたかみある白磁なので冬でも冷たさを感じさせない。厚手でぽってりとした重量感、あたたかみある白磁の肌に、味わいある素朴な藍色の絵付けが魅力。絵付けは、繊細な模様を、染付、上絵を用いて描いている。砥部焼は和食器のなかでも特に丈夫といわれるほど、強く扱いやすく、程よい重みを感じる日々の生活になじむ器だ。
「すこし屋」は、古くから生活の中で愛されてきた砥部焼の伝統を大切にしながら、今日の自分たちよりも「すこし美しく、すこし楽しく、すこし挑戦したものづくり」を目指した窯である。それはすなわち、昔も今もその時代の人の生活になじむように、「すこし」ずつ改良を重ねながら大切に受け継がれてきた伝統と技術だ。時代が移り変わり、人々の生活も変化していく中にあって、すこし屋の砥部焼はその変化に寄り添いながらも、先人たちがそれまで培ってきたものを引き継ぎ続けている。毎日使う器であってほしいから、きれいで美しく。使った人が幸せになるように、優しく楽しい。すこし屋は、そのために日々挑戦しながらものづくりを続けている。